相続税申告の流れと期限|期限後申告や修正申告・更正の請求についても解説

美藤公認会計士・税理士事務所 > 相続対策 > 相続税申告の流れと期限|期限後申告や修正申告・更正の請求についても解説

相続税申告の流れと期限|期限後申告や修正申告・更正の請求についても解説

相続により取得した遺産の価額が一定以上に達する場合、相続税が課税されます。そして、相続税の申告書の提出やその他の相続手続には期限が設定されているものも多く、相続人等は期限を守りながらミスのない手続を心掛けなくてはなりません。

 

どの手続をいつまでにしないといけないのか、流れに沿ってここで解説していきます。

相続手続に関する各種期限

主な相続関連手続の期限は次のとおりです。基本的には「相続開始からの期間」で考えます。

 

  • 死亡届の提出:7日以内
  • 相続放棄や限定承認の申述:3カ月以内
  • 所得税の準確定申告:4カ月以内
  • 相続税の申告・納税:10カ月以内

 

相続放棄や限定承認は必須の手続ではありません。相続をしないとき、または債務の弁済責任を限定したいときに必要な手続です。基本的には遺産に多額の借金が含まれているような場合に検討することになります。

 

また、所得税の準確定申告は、亡くなったご家族(被相続人)が個人事業主であったなど、元々、所得税の確定申告を行っていた場合のほか、所得税の還付を受ける場合に必要な手続です。被相続人の年初から死亡日までの所得について準確定申告を行います。

 

そして、相続税の申告と納税ですが、こちらも全ての相続人に必須の手続ではありません。相続税の納税が必要になる場合、または申告が必要な特例の適用を受ける場合に申告を行います。

 

相続税の申告をした後、税額を多く納付したことが発覚した場合、「更正の請求」により支払い過ぎた税金を還付してもらうことが可能です。ただし、更正の請求は「相続税の申告期限から5年以内」という期限が設けられています。

相続税申告までの流れ

相続開始後、すぐに相続税の申告ができるわけではありません。多くの場合、以下で説明する様々な手続を進めていくこととなります。そのため、10カ月以内という期限内に数多くの手続に対応していかないといけないのです。

遺産の相続

相続税は取得した遺産等の大きさに応じて納税額が計算されます。そのため、相続する遺産が確定しないことには税額の計算も進められません。

 

相続人が1人であれば、全ての遺産をおひとりで相続することになりますが、複数の相続人が相続するときは遺産分割協議で各自の取り分を決めていきます。また、遺言書で相続割合や特定財産の取得について指定されているケースもあります。そのときは遺言書の内容に従って遺産分割します。

※相続人全員の同意があれば遺言内容と異なる遺産分割も可能

 

なお、遺産分割協議は相続人全員の意見を一致させなければなりませんので、話し合いに参加することになる相続人全員を調査する必要があります。被相続人の戸籍を出生時まで遡って集め、民法の規定に従って相続人を確定させていく作業が欠かせません。

 

さらに、遺産の調査も欠かせません。「どんな財産があるのか」、「各財産の評価額はいくらか」など、専門家に対応してもらうと効率的ですし、ミスも起こりにくいです。相続税の計算では、財産の評価額を知る必要がありますので、事前に調査しておくようにしましょう。

申告の必要性を調べる

遺産分割協議で取得する遺産の内容が確定すれば、「相続税の申告をしないといけないのかどうか」を調べていきます。

 

その判断においてポイントとなるのが①遺産総額と②基礎控除額です。実際のところ、生前贈与財産の価額を含めたり、みなし相続財産である生命保険金なども含めたりする必要がありますが、基本的の考え方としては「①遺産総額-②基礎控除額」の計算で課税価格が残っているのかどうかに着目し、申告の必要性を判断します。

 

基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出されるため、法定相続人が被相続人の①妻、②長男及び③長女の3名であるときは、4,800万円を控除額として差引くことができます。上記のケースでは、4,800万円を超える遺産がなければ、相続税の申告は必要ありませんし、納税の必要もないことが明らかになります。

 

なお、遺産総額の方が基礎控除額より大きな場合でも、未成年者控除や障害者控除などの適用を受けて納税額が0円になるときは申告不要です。しかしながら、配偶者の税額軽減や贈与税額控除、小規模宅地等の特例など利用するときは、当該制度を利用する旨を伝えるために、相続税の申告が必要です。

申告書の作成と必要書類の準備

相続税の申告が必要であると分かった場合は、税理士に相続税の申告書を作成してもらうため、必要な書類も整えていきましょう。

 

相続税の申告書は多数の表から構成されています。

 

生命保険金や退職手当金がある、債務がある、税額控除の適用を受けるなど、状況に応じて作成すべき書類は増えますが、その中でも主要なものは課税財産についてまとめた「第11表」です。さらに、葬式費用等の情報も反映させた「第13表」、相続税の総額を計算した「第2表」、課税価格の合計額や各人の相続税額を計算した「第1表」なども作成することになります。

 

また、必要書類として①本人確認書類、②相続人であることを示す書類、②相続財産に関する書類も準備します。

 

相続税の申告書の作成や必要書類の収集は税理士に依頼することができますので、ミスなく期限内に手続を済ませるためにも積極的に依頼すると良いでしょう。

申告書の提出と相続税の納税

相続税の申告書が作成できれば、これを税務署に提出し、相続税を納めます。

 

なお、税務署に直接行って窓口で納めなくても、Web上で納付手続を進めることは可能です。

申告期限後の対応について

相続税の申告期限を過ぎてからでも申告をすることは可能ですし、遅れてでも申告を行うことが必要です。また、申告を行った後で申告内容の間違いに気づいてこれを修正することもできます。

 

これら申告期限後の対応に関しても紹介しておきます。

期限後申告

相続税の申告や納付の期限とされている10カ月を経過してからの申告は「期限後申告」と呼ばれます。

 

期限後申告の場合、納付が遅くなった期間に応じて延滞税が発生します。延滞税は利息に相当するものですので、相続税の納付が遅くなるほどその額も膨らんでいきます。そのため、申告期限に間に合わなかったとしてもできるだけ早いうちに税金を納めるべきです。

 

また、正当な理由なく申告をしなかったときは、ペナルティとして「無申告加算税」も負担させられます。ただし、「税務署から指摘を受ける前に相続人が自主的な申告をする」場合には、その負担額が軽減されます。

修正申告

相続税の申告をした後で、「本来の税額より少なく申告してしまっていた」という事実に気が付くこともあります。

 

悪意なく、うっかりそのようなミスをしてしまったこの場合にも延滞税等のペナルティが課されることがあるため、当初の申告内容の誤りを修正する「修正申告」の手続を進めましょう。

 

単に計算ミスで修正申告が必要になることもありますし、把握できていなかった遺産が見つかった場合などにも修正が必要になります。

 

修正申告に期限はありませんが、ペナルティの負担を少しでも少なくするためには、間違いが発覚した時点ですぐに対応することが重要です。

更正の請求

相続税の申告をした後で、「本来の税額より多く申告してしまっていた」という事実に気が付くこともあります。単純な計算ミスのほか、財産の評価が誤っていたケースなどにも起こり得ます。

 

この場合は本来の納税義務を超えた負担を負ってしまっているため、払い戻しを受けるために「更正の請求」を行いましょう。

 

更正の請求は「申告期限から5年以内」です。

 

ただし、後日に特別の事情が生じたときはこの5年という期限を過ぎても更正の請求が可能です。例えば、遺留分侵害額の請求を受けてその返還を行った場合や、遺言書が見つかったなどです。
このように、申告時点で発生していなかった事情により納税すべき額が減少したときは、「特別の事情が発生した翌日から4カ月以内」なら更正の請求が可能です。

 

税理士に対応してもらうなどして期限内に相続税に係る処理を済ませるようにしましょう。

KNOWLEDGE基礎知識とキーワード

PROFILE代表者の紹介

美藤 直人先生の写真

美藤 直人(びとう なおひと) / 公認会計士・税理士

大手監査法人での豊富な実務経験と、企業支援・相続・事業承継まで幅広い支援実績を持つ公認会計士・税理士です。
金融庁勤務や上場企業の社外役員など、多角的な視点で経営をサポートしています。

詳しい経歴はこちら

皆さまの『良き経営アドバイザー(軍師)』を目指して

ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
公認会計士・税理士の美藤直人(びとうなおひと)と申します。

私は1991年に公認会計士試験(旧第2次試験)に合格後、大手監査法人に勤務していましたが、2011年に税理士登録して当事務所を設立し、企業・個人事業者であるお客さまに対してご事業の発展をサポートするアドバイザー‘軍師’であり続けたいと考えて業務を行ってきました。

物価や金利の変動など経済環境が大きく変化する今、経営にはこれまで以上に柔軟な判断と確かな戦略が求められています。公認会計士・税理士として、経営者の皆さまの意思決定を支え、安心して事業を発展させていけるように全力でサポートすることが、私の真の仕事であると考えています。また、『史記』(中国前漢の武帝の時代の歴史書)に「計は会なり」という言葉が初めて表れたのが「会計」という言葉の始まりだと言われています。この「計は会なり」は「各方面の現場の真実を正しく報告すれば、ビジネスの価値が増大する」という意味であり、私が公認会計士・税理士として「会計」のお手伝いをすることが、お客さまのご事業の発展に通じることになります。

お客様の発展を自分の喜びとし、信頼される‘軍師’として法令に基づいた節税と経営サポートを行ってまいります。
今までの実務経験を活かしながら、「お客さまとともに成長する」ことを大切にし、起業支援、個人事業者の法人成り、創業融資、補助金の申請、税務申告(法人税、所得税、消費税、相続税など)、事業承継、事業再生、事業計画の作成支援、M&Aの買収調査まで幅広くお手伝いをしています。
お気軽にご相談ください。

OFFICE事務所概要

名称 美藤公認会計士・税理士事務所
事務所所在地 〒530-0041
大阪市北区天神橋2丁目北1番21号 八千代ビル東館3階B号室
連絡先 TEL:06-4800-8410
代表者 美藤 直人(びとう なおひと)
対応時間 平日 9:00~18:00
定休日 土曜・日曜・祝日※事前にご連絡いただければ、休日も対応します。

アクセス

大阪メトロ南森町駅・JR大阪天満宮駅の3番出口を出て天神橋筋商店街を北に120m
1つ目の小さな十字路を右折して40m先の右側のビル(1階に皮膚科と調剤薬局があります)