相続税の納付がなくても申告が必要なケースとは?不要な場合も解説
相続税の納付が0円となる場合でも、税務署への申告が必要かどうかは、その理由によって異なります。
申告が不要なケースと、節税特例の適用を受けるために申告が義務付けられるケースがあるため、注意が必要です。
本記事では、相続税の納付額がない場合の申告の要否を分けるポイントを解説していきます。
相続税が0円なら申告が不要なケース
一般的に相続税の申告義務が発生するのは、相続財産の総額が「基礎控除額」を超えた場合です。
逆に申告不要となるケースは、主に、財産評価の段階で課税対象額が0円になっているか、又は計算後の税額を控除で減額し、相続税が0円となった場合となります。
以下で詳しく見ていきましょう。
そもそも遺産総額が基礎控除額以内の場合
相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という計算式で算出される基礎控除額が設けられています。
遺産総額がこの基礎控除額内に完全に収まっている場合、相続税は発生しません。
この場合は、相続税法上の申告の前提となる「課税対象額」が存在しないため、申告も納税も不要となります。
障害者の税額控除を適用した場合
障害者の税額控除は相続人が85歳未満の障害者である場合に、その納税額から一定額を差し引くことができる制度です。
この税額控除を適用した結果、計算された相続税額が0円になった場合、申告は不要となるのが原則です。
これは既に課税遺産総額の計算が行われ、税額が算出された後に、その税額から直接差し引く「税額控除」であるため、納税額が0円になっても特例のような申告義務は生じません。
未成年の税額控除を適用した場合
未成年の税額控除は、相続人が18歳未満の未成年者である場合に、その納税額から一定額を差し引くことができる制度です。
この税額控除によって最終的な納税額が0円になった場合も、申告は不要となります。
この控除も障害者の税額控除と同様に、納税額から直接差し引く「税額控除」であるため、適用を受けるために申告書の提出が必須とされる特例とは性質が異なります。
相次相続控除を適用した場合
相次相続控除とは、被相続人が亡くなる前の10年以内に既に相続税を支払っていた場合、その税額の一部を今回の相続税から差し引くことができる制度です。
この控除を適用した結果、相続税額が0円となった場合も、申告は不要となるのが原則です。
ただし、この控除を適用するケースでは、そもそも相続税が発生する可能性が高いため、慎重な検討が必要です。
相続税が0円でも申告が必要なケース
相続税の納税額が0円であったとしても、特定の「特例」を適用して相続税が0円となった場合は、例外なく税務署への申告が義務付けられます。
これらの特例は申告書を提出し、要件を満たしたことを証明することによって初めて認められる制度であるため、申告義務が設けられています。
また、特例は節税効果が非常に高いため、申告を怠ると適用が否認され、多額の相続税を追徴課税されるリスクが発生することにも注意が必要です。
相続税の配偶者控除を適用した場合
相続税の配偶者控除(配偶者の税額軽減)は、配偶者が取得した遺産のうち、「1億6,000万円」又は「法定相続分相当額」のいずれか多い金額まで相続税が非課税となる非常に強力な特例です。
この特例を適用することで納税額が0円になるケースは多いですが、適用要件を満たした上で申告書を提出しなければ、この特例を受けることができません。
そして、この申告書には、遺産分割協議書など、特例の適用を受けるために必要な書類を添付する必要があります。
小規模宅地等の特例を適用した場合
小規模宅地等の特例は被相続人の居住用や事業用に使用されていた宅地について、一定の要件を満たす場合に、その評価額を最大で80%まで減額できるという大きな節税効果を持つ特例です。
この特例を適用することで、宅地の評価額が大幅に減額され、結果として相続税額が0円になるケースも多々あります。
しかし、配偶者控除と同様に、この特例の適用を受けるためには、申告期限内に申告書を提出することが絶対条件となっています。
もし期限を過ぎると、特例の適用が否認される可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
相続税の納付が0円でも申告が必要か否かは、相続税が0円になった理由が「基礎控除額や税額控除によるもの」なのか、「配偶者控除や小規模宅地等の特例といった申告要件付きの特例によるもの」なのかによって明確に異なります。
申告が必要な特例を適用する場合は、納税額が0円であっても、申告期限を厳守することが非常に重要となります。
これら相続税の申告についてお困りの際は、ぜひ税理士にご相談ください。
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美藤 直人(びとう なおひと) / 公認会計士・税理士
大手監査法人での豊富な実務経験と、企業支援・相続・事業承継まで幅広い支援実績を持つ公認会計士・税理士です。
金融庁勤務や上場企業の社外役員など、多角的な視点で経営をサポートしています。
皆さまの『良き経営アドバイザー(軍師)』を目指して
ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
公認会計士・税理士の美藤直人(びとうなおひと)と申します。
私は1991年に公認会計士試験(旧第2次試験)に合格後、大手監査法人に勤務していましたが、2011年に税理士登録して当事務所を設立し、企業・個人事業者であるお客さまに対してご事業の発展をサポートするアドバイザー‘軍師’であり続けたいと考えて業務を行ってきました。
物価や金利の変動など経済環境が大きく変化する今、経営にはこれまで以上に柔軟な判断と確かな戦略が求められています。公認会計士・税理士として、経営者の皆さまの意思決定を支え、安心して事業を発展させていけるように全力でサポートすることが、私の真の仕事であると考えています。また、『史記』(中国前漢の武帝の時代の歴史書)に「計は会なり」という言葉が初めて表れたのが「会計」という言葉の始まりだと言われています。この「計は会なり」は「各方面の現場の真実を正しく報告すれば、ビジネスの価値が増大する」という意味であり、私が公認会計士・税理士として「会計」のお手伝いをすることが、お客さまのご事業の発展に通じることになります。
お客様の発展を自分の喜びとし、信頼される‘軍師’として法令に基づいた節税と経営サポートを行ってまいります。
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