会社法が定める計算書類|作成義務のある書類を詳しく解説

美藤公認会計士・税理士事務所 > 税務申告・税務相談 > 会社法が定める計算書類|作成義務のある書類を詳しく解説

会社法が定める計算書類|作成義務のある書類を詳しく解説

会社法では「計算書類」等の作成を義務付けています。株式会社においては貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表の作成をしなければならず、また、計算書類に加えて事業報告書や附属明細書の作成も行う必要があります。

 

会社を運営していくうえで必ず守らなければならないルールですので、経営者の方や直接業務にあたる経理の方、これから始めて会社の事務を行う方などは各種書類の内容を理解しておくことが大事です。当記事でも計算書類について詳しく解説しております。ぜひ参考にしてください。

作成義務のある計算書類とは

会社の運営方法などを規律した会社法では、次の規定を置いています。

 

株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。

引用: e-Gov法令検索 会社法第 435条第 2

 

この規定に基づけば、事業年度ごとに次の書類の作成が必要であると整理できます。

 

  • 計算書類
    • 貸借対照表
    • 損益計算書
    • その他財産・損益の状況を示すため必要かつ適当なものとして法務省令で定めるもの
  • 事業報告
  • 計算書類と事業報告に係る附属明細書

 

計算書類のうちの③が明記されていませんが、別途法務省令で定めたものがここに該当するとあります。

この法務省令とは「会社計算規則」のことであり、そこでは「株主資本等変動計算書」と「個別注記表」の作成が必要である旨規定されています。

「計算書類」「決算書」「財務諸表」の違い

会社法では「計算書類」等の作成を義務付けていますが、書類の作成義務を設けているのは会社法だけではありません。

法人税法や金融商品取引法が適用される場面では、各法で定められた書類についても作成をしないといけません。

 

そしてそれぞれ呼び名が違いますし、重複している書類などもあり、混乱することがあるかもしれません。

厳密に区別せず呼称されることも多い点には注意が必要ですが、おおむね次のように区分できます。

 

会社法

法人税法

金融商品取引法

「計算書類」

「決算書」

「財務諸表」

・貸借対照表

・損益計算書

・株主資本等変動計算書

・個別注記表

・貸借対照表

・損益計算書

・株主資本等変動計算書

・貸借対照表

・損益計算書

・株主資本等変動計算書

・キャッシュフロー計算書

・個別注記表

 

法人税法はどの会社にも適用される法です。会社の適正な運営等を目的とする会社法とは異なり、こちらは法人税の適切な納付を目的としています。

よく「決算書」という言葉が使われますが、法人税法で直接定義されているわけではなく、一般的にはその他の書類もまとめて決算書と呼ぶことがありますので注意が必要です。

 

なお、金融商品取引法に関しては上場会社など特に利害関係の幅が広い会社に適用される法です。適用を受けない中小企業も多くあります。

計算書類の承認と期限

会社法に基づく計算書類の作成は、定時株主総会が開催されるときまでに済ませておかないといけません。

というのも、株式会社では計算書類等を定時株主総会に提出し、そこで承認を受けないといけないためです。

取締役会と会計監査人が設置されている場合は、取締役会の承認で足りる。ただし定時株主総会へその内容を報告しないといけない。

 

そこで実質の計算書類作成期限となる「定時株主総会の開催時期」ですが、法律では「事業年度が終わってから一定の時期に行う」旨が定められているのみで、具体的な時期については各社作成する定款に委ねられています。

 

実務上は「事業年度終了から 3ヶ月以内」とする例が多く、さらに事業年度が終了する時期としては3月を定める例が比較的多いです。

そこで、3月決算法人なら 630日までに定時株主総会を開催する必要があり、そこまでに計算書類等を作成することとなります。

 

ただ、法人税法によれば「事業年度終了日翌日から 2ヶ月以内」に申告をしないといけないため、この期限内に作成をしておかないと会社法違反にならなくても法人税法違反となってしまいます。

計算書類各種の詳細について

会社が作成しないといけない計算書類について、それぞれどんな書類なのかを以下で説明していきます。

貸借対照表(B/S )

「貸借対照表」は、ある時点における会社の資産や負債などの状況、いわゆる財政状態を表す計算書類です。

 

会社が持つすべての①資産、②負債、③純資産が記載されるため、資金調達の状況から運用状況に至るまで把握することができます。

また、ある一時点での状態を示すものではありますが、開業からの事業活動が累積した結果が表れていると考えることも可能です。

 

①②③はそれぞれ「資産の部」「負債の部」「純資産の部」として表上で区分されており、各部に該当するものとして次の例を挙げられます。

 

資産の部の例

負債の部の例

・現金や預金

・売掛金

・有価証券

・製品

・原材料

・建物

・土地

・機械装置

・ソフトウェア など

・買掛金

・未払金

・預り金

・社債

・長期借入金 など

純資産の部の例

・資本金

・資本剰余金

・利益準備金 など

 

ここから自己資本比率などを読み取ることができ、取引相手となる社外の人からすれば「財政状態が安定しているかどうか」「支払い能力はどうか」などを評価するために使うことができます。

損益計算書(P/L )

損益計算書は、一定期間(事業年度中)における会社の成績を表す書類です。

当期で発生した収益や費用の大きさがここに記載され、その差額として当期純利益も明らかになります。

 

当期純利益は法人税の額を算出する基となる値ですが、当期純利益が算出される過程で次の 5つの利益が算出されます。

損益計算書ではこれら 5つの利益とその詳細から構成されているのです。

 

損益計算書に記載される利益の内容

売上総利益

「売上総利益=売上高-売上原価」

 

仕入等の分を差し引いた、粗利益のこと。

営業利益

「営業利益=売上総利益-各種経費」

 

交際費や交通費、給料などの一般経費を差し引いた、本業の利益のこと。

経常利益

「経常利益=営業利益±(配当や利息などの収支、本業以外の収支を加味する)」

 

会社が通常行っている事業からどれだけの利益が出ているのかを表す利益のこと。

税引前当期純利益

「税引前当期純利益=経常利益±(固定資産の売却等に係る臨時の損益、過去の損益の修正などを加味する)」

 

通常行う事業からの利益に特別に生じた損益も加えた、税金の支払いを除くほとんどすべてを反映した利益のこと。

当期純利益

「当期純利益=税引前当期純利益-法人税等」

 

法人税や住民税、事業税など、利益に課される税金の支払いもすべて考慮した最終的な利益のこと。

 

損益計算書からは、「この 1年間での活動結果が上手くいっているのかどうか」「コストがどれだけ発生しているのか」などを評価することができます。

株主資本等変動計算書

株主資本等変動計算書は、資産と負債の差額に対応する「純資産」の動きを明らかにするための書類です。

 

株主資本等変動計算書においては、純資産を大きく①株主資本、②評価・換算差額、③新株予約権に分類します。特に①の内容は重視されており、期中での変動額について、変動した事由別に分けて記載することが求められています。

 

なお、株主資本には「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」「自己株式」が該当します。

各種はさらに細かく分類し、それぞれの変動内容をまとめていきます。

個別注記表

個別注記表は、貸借対照表や損益計算書、株主資本等変動計算書などに関わる注記事項をまとめた書類のことです。

 

会社計算規則では、会社の財産状況や損益状況を正確に評価するのに欠かせない事項を注記しないといけない旨が規定されており、この規定に基づいて個別注記表の作成義務が課されています。

 

例えば次に挙げる書類に関する注記事項をまとめることとなります。

 

  • 重要な会計方針に係る事項に関する注記
  • 貸借対照表に関する注記
  • 損益計算書に関する注記
  • 株主資本等変動計算書に関する注記 など

持分会社が作成する計算書類

合同会社、合資会社や合名会社などの持分会社も計算書類の作成が必要です。ただし作成義務のある書類は株式会社と異なります。

 

株式会社

合同会社

合資会社

合名会社

貸借対照表

損益計算書

株主資本等変動計算書

個別注記表

貸借対照表

損益計算書

株主資本等変動計算書

個別注記表

貸借対照表

 

このように、合資会社と合名会社は貸借対照表を作成するだけで良いのです。

この 2つの会社に関しては無限責任社員が在籍しており「会社債権者が最終的に社員個人へ債権回収を行うことができる」のがその理由です。

 

一方の合同会社は株式会社に近い性質を持っていることから、作成すべき計算書類もほぼ同じです。

ただし株式の発行は行わないため、“株主”資本等変動計算書ではなく“社員”資本等変動計算書を作成することになります。

KNOWLEDGE基礎知識とキーワード

PROFILE代表者の紹介

美藤 直人先生の写真

美藤 直人(びとう なおひと) / 公認会計士・税理士

大手監査法人での豊富な実務経験と、企業支援・相続・事業承継まで幅広い支援実績を持つ公認会計士・税理士です。
金融庁勤務や上場企業の社外役員など、多角的な視点で経営をサポートしています。

詳しい経歴はこちら

皆さまの『良き経営アドバイザー(軍師)』を目指して

ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
公認会計士・税理士の美藤直人(びとうなおひと)と申します。

私は1991年に公認会計士試験(旧第2次試験)に合格後、大手監査法人に勤務していましたが、2011年に税理士登録して当事務所を設立し、企業・個人事業者であるお客さまに対してご事業の発展をサポートするアドバイザー‘軍師’であり続けたいと考えて業務を行ってきました。

物価や金利の変動など経済環境が大きく変化する今、経営にはこれまで以上に柔軟な判断と確かな戦略が求められています。公認会計士・税理士として、経営者の皆さまの意思決定を支え、安心して事業を発展させていけるように全力でサポートすることが、私の真の仕事であると考えています。また、『史記』(中国前漢の武帝の時代の歴史書)に「計は会なり」という言葉が初めて表れたのが「会計」という言葉の始まりだと言われています。この「計は会なり」は「各方面の現場の真実を正しく報告すれば、ビジネスの価値が増大する」という意味であり、私が公認会計士・税理士として「会計」のお手伝いをすることが、お客さまのご事業の発展に通じることになります。

お客様の発展を自分の喜びとし、信頼される‘軍師’として法令に基づいた節税と経営サポートを行ってまいります。
今までの実務経験を活かしながら、「お客さまとともに成長する」ことを大切にし、起業支援、個人事業者の法人成り、創業融資、補助金の申請、税務申告(法人税、所得税、消費税、相続税など)、事業承継、事業再生、事業計画の作成支援、M&Aの買収調査まで幅広くお手伝いをしています。
お気軽にご相談ください。

OFFICE事務所概要

名称 美藤公認会計士・税理士事務所
事務所所在地 〒530-0041
大阪市北区天神橋2丁目北1番21号 八千代ビル東館3階B号室
連絡先 TEL:06-4800-8410
代表者 美藤 直人(びとう なおひと)
対応時間 平日 9:00~18:00
定休日 土曜・日曜・祝日※事前にご連絡いただければ、休日も対応します。

アクセス

大阪メトロ南森町駅・JR大阪天満宮駅の3番出口を出て天神橋筋商店街を北に120m
1つ目の小さな十字路を右折して40m先の右側のビル(1階に皮膚科と調剤薬局があります)