親子間で不動産を生前贈与するメリットや注意点について解説
親子間で避けて通ることのできない相続。
特に不動産の相続はトラブルになることが多く、長く暮らしてきた家を手放さなくてはならないこともあります。
生前贈与という制度はどのような制度で、どんなメリットがあるのでしょうか。
本稿で相続との違いや利用する際の注意点などを解説します。
不動産の生前贈与とは?
親子間であっても不動産の名義を親から子へ変更すると、その不動産は贈与されたことになります。
これを生前贈与と言い、贈与税の対象となります。
贈与税は相続税よりも税率が高いため、不動産のような高額な財産の贈与は慎重に行わなければなりません。
生前贈与の方法とそのメリット・デメリットを理解したうえで、検討する必要があります。
生前贈与の方法
生前贈与をすると通常は贈与税がかかりますが、贈与税を非課税にすることもできます。
その方法に相続時精算課税制度があります。
相続時精算課税制度の適用要件について
相続時精算課税制度の贈与者と受贈者の適用要件は次の通りです。
・贈与者は贈与した年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母
・受贈者は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の推定相続人である子、または孫
贈与を受けた年の2月1日から3月15日の期間に「相続時精算課税制度」の届け出を提出する必要があります。
相続時精算課税制度とは
この相続時精算課税制度を利用すれば、2,500万円までは非課税です。
贈与者が亡くなった時、贈与財産の贈与した時の価値と相続財産を合算して相続税を計算し納税します。
年間110万円の基礎控除
2024年1月より、年間110万円の基礎控除が創設されました。
この110万円については特別控除の2,500万円とは対象外となるので、相続財産に加算されることはありません。
計算式
(1年間の贈与額-ー年間110万円の基礎控除=累計額ー2,500万円の特別控除)×20%
暦年贈与との併用は不可
相続時精算課税制度を利用すると、暦年課税制度は利用することはできなくなります。
暦年贈与とは年間110万円の贈与税が非課税となる制度です。
生前贈与のメリット・デメリット
生前贈与について考えるとき、それぞれ状況は違いますしよく検討する必要があります。
生前贈与のメリットとデメリットをあげてみました。
生前贈与のメリット
生前贈与のメリットとして以下のようなものが挙げられます。
- 効果的な節税が見込める
- 遺産の受け渡しに余裕がある
- 相続人が生存しているため、トラブルに回避につながる
生前贈与の最大のメリットは、相続人が生存していることです。
何かあっても相談や確認がすぐにできることは大きなメリットとなります。
節税の対象であれば、相続よりもお得でスムーズな財産分与が期待できます。
生前贈与のデメリット
生前贈与のデメリットは以下の通りです。
- 不動産の贈与は、課税対象となる
- 税務署の認定が受けにくい
- 相続税に比べて税率は高い
贈与は相続よりも税率が高いので、節税対策の制度が利用できない場合には、かなりの税額を負担することになる可能性があります。
しっかりと確認しておかないと、とんでもない金額の税金がかかってしまうので注意が必要です。
生前贈与で準備しておくこと
生前贈与を考えるにあたって、はじめに準備しておかなければいけないことは、不動産の価値が今現在どのくらいかということです。
不動産の価値によって節税対策の制度がどれで、どう利用するのがいいのかが明確になります。
まとめ
不動産の相続税は不動産の価値によって決まるので、相続人の手元に現金がなくても算出されてしまいます。
住み慣れた我が家を手放すのは悩ましいところです。
生前贈与なら相続人とともに意思を確認しながら、財産分与を進められるメリットがあります。
ただ贈与税は、税金が相続税よりさらに高いのが問題です。
生前贈与のメリット・デメリットを鑑みてそれぞれよくご検討ください。
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美藤 直人(びとう なおひと) / 公認会計士・税理士
大手監査法人での豊富な実務経験と、企業支援・相続・事業承継まで幅広い支援実績を持つ公認会計士・税理士です。
金融庁勤務や上場企業の社外役員など、多角的な視点で経営をサポートしています。
皆さまの『良き経営アドバイザー(軍師)』を目指して
ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
公認会計士・税理士の美藤直人(びとうなおひと)と申します。
私は1991年に公認会計士試験(旧第2次試験)に合格後、大手監査法人に勤務していましたが、2011年に税理士登録して当事務所を設立し、企業・個人事業者であるお客さまに対してご事業の発展をサポートするアドバイザー‘軍師’であり続けたいと考えて業務を行ってきました。
物価や金利の変動など経済環境が大きく変化する今、経営にはこれまで以上に柔軟な判断と確かな戦略が求められています。公認会計士・税理士として、経営者の皆さまの意思決定を支え、安心して事業を発展させていけるように全力でサポートすることが、私の真の仕事であると考えています。また、『史記』(中国前漢の武帝の時代の歴史書)に「計は会なり」という言葉が初めて表れたのが「会計」という言葉の始まりだと言われています。この「計は会なり」は「各方面の現場の真実を正しく報告すれば、ビジネスの価値が増大する」という意味であり、私が公認会計士・税理士として「会計」のお手伝いをすることが、お客さまのご事業の発展に通じることになります。
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