定款とは|記載事項や作成時の注意点を解説

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定款とは|記載事項や作成時の注意点を解説

定款は組織の規則として最上位にある存在で、会社の存立に欠かすことのできない存在でもあります。

 

会社を立ち上げるときに作成をしなければなりませんので、定款に記載しないといけない事項の種類、記載時に注意すべき点についてここで把握しておきましょう。

 

会社の設立に「定款」は必須

定款で、社名など、会社の基本的な情報が定められます。

他にも役員が守るべきルール、組織の機関なども定めることができ、会社によって具体的内容は異なります。

 

株式会社と合同会社の違い、合同会社と他の持分会社との違いなども、定款への記載によって定まります。

そのため定款は会社種別を区別する根拠でもあり、これを作成することなく会社を立ち上げることはできません。

 

記載が必須の事項と任意で記載する事項がある

定款には組織の重要なルールが定められます。各社、法令に反しない範囲でルールを策定していくことができるのですが、いくつか記載が省略できないものもあります。これを「絶対的記載事項」と呼びます。

 

例えば、株式会社の場合、次の事項を定めなくてはなりません。

 

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  5. 発起人の氏名又は名称及び住所
  6. 発行可能株式総数

 

また、特定の重要な規定については定款への記載でなければ効力を生じないとされています。次の例がこの「相対的記載事項」です。

 

  • 変態設立事項(会社設立に関する事項)
    > 現物出資
    > 財産引受
    > 発起人の報酬等
    > 会社が負担する設立費用
  • 株式の譲渡制限
  • 役員の任期
  • 株券の発行
  • 公告方法 など

 

上記いずれにも該当しないルールは、定款への記載が任意となります。例えば、次の事項は定款以外の社内規程で定めることもできます。

 

  • 株主総会の議長や招集権者
  • 役員の員数や報酬
  • 事業年度 など

 

株式会社を設立するときは認証も必須

株式会社以外の合同会社などでも定款は必要です。しかし、株式会社だけが「認証」の手続を求められています。

公証役場で元法曹(裁判官や検察官、弁護士などのこと。)である公証人にチェックをしてもらうのです。

 

株式会社の場合、会社経営者とは別の株主が存在していることもあり、利害関係の幅が広いことなどを理由に認証手続が必須になっています。

 

そこで、会社設立手続を進めるにあたって手間と費用が別途発生します。

なお、認証が必要なのは設立時に作成する原始定款であり、定款の変更時に認証は必要ありません。

 

絶対的記載事項を定めるときの注意点

定款を作成するときは、少なくとも絶対的記載事項の種類を把握し、確実に各事項について定めることが必要です。

 

株式会社における絶対的記載事項とその内容

商号

・社名のこと。

・「当会社は、株式会社〇〇と称する。」などと記載。

・株式会社の場合は「株式会社」の文言が必須。

・商号と本店所在地が同一の会社が存在する場合は設立できない。

・使える記号などにも制限がある。

目的

・その会社がする事業内容のこと。

・「〇〇の売買」などと記載。

本店の所在地

・本店、本社の住所のこと。

・「当会社は、〇〇に本店を置く。」などと記載。

出資財産の価額又は最低額

・出資価額のこと。

・「出資される財産の価額は金〇〇万円。」などと記載。

発起人の氏名・名称及び住所

・発起人を特定する情報のこと。

・各自の引受株式数と払い込み額なども併せて記載することが多い。

 

絶対的記載事項に関する注意点をいくつか説明します。

 

事業内容を狭めすぎない

会社の権利能力(権利義務の主体になれること)は、定款に定める「目的」の範囲に限られると考えられています。

 

その会社が何をするために存在しているのか、ある程度は明確に記載する必要がありますが、必要以上に具体的な記載とすると行動範囲を自ら狭めることになってしまいます。ある程度の幅を持たせた表現で記載するようにしましょう。

 

また、目的は複数列挙してもかまいませんし、「〇〇の販売」や「〇〇の製造」などと定めるだけでなく「〇〇に関連する一切の事業」と包括的な表現で記載をしても問題ありません。

 

本店所在地を詳細まで記載しない

会社の本店所在地に関しても詳細まで記載する必要はなく、定款に記すときは最小行政区画までで問題ありません。

 

むしろ細かく記載してしまうことで、住所を移すだけに定款変更の手続が必要となり、引っ越しに伴う手間が増えてしまいます。

 

設立登記までに発行可能株式総数を定める

会社法第27条では、「株式会社の定款には次の事項を記載しなければならない」と、上記5つの事項を列挙しています。

 

しかし、これらとは別に、「発行可能株式総数」についても会社が成立するまでに定めなければならないと規定されています。

 

株式の譲渡に制限をかける会社であれば定め方に特段の注意を払う必要もありませんが、譲渡制限をかけない公開会社の場合、発行株式数と発行可能株式総数のバランスに注意をしないといけません。

 

法律上、発行済みの株式数は発行可能株式総数の1/4以上でなければなりません。
設立時の発行株式が100株であるなら、発行可能株式総数は400株以下にする必要があるということです。

 

合同会社と株式会社では記載事項が異なる

合同会社が設立される例も増えていますが、このときは定款に社員に関する事項を定める必要があります。

 

社員の氏名・名称と住所、そして「有限責任社員」であることの表示。出資の目的と価額なども記載が必要です。

ここで記載している合同会社の「社員」とは、合同会社の出資者兼役員(株式会社の株主兼取締役に相当)のことをいいます。

 

「有限責任社員 〇〇(氏名・名称) 金〇〇万円(出資の目的と価額) 〇〇県〇〇市・・・(住所)」と、まとめて記載しても問題ありません。

 

なお、合同会社の場合は商号を定めるときに「当会社は、〇〇合同会社と称する。」などと「合同会社」の文言を入れる必要があります。

 

現物出資等をするときの注意点

相対的記載事項のうち会社設立時の特別な事項は「変態設立事項」と呼ばれます。

 

その中でも比較的記載する機会の多い事項が現物出資についての事項です。

 

金銭に代えて物で出資をする行為を「現物出資」と呼んでいます。

この場合は出資額が正確でない危険性があることから、別途一定の事項については定款に記載することが求められているのです。

 

そこで現物出資をするなら、次の情報を確実に明記しておきましょう。

 

  • 現物出資をした発起人の氏名・名称
  • 現物出資する財産の内容及び価額
  • 現物出資に対して割り当てる株式数

 

その他検討する記載事項

定款に記載しないといけない事項ではありませんが、次のルールについては一度検討することをおすすめします。

 

  • 株式の譲渡制限
    > 定款に定めがないときは譲渡が自由にできるが、身内以外が経営に参画してくることを避けたいときは制限を設ける。
    > 株式発行による資金調達を想定していない、仲間内で経営する小企業である、などの事情があるときは譲渡制限をかけることが多い。
    > 取締役又は代表取締役の承認があれば譲渡できると定めるのが一般的。

  • 株主総会の招集通知時期
    > 定款に定めがないときは株主総会の2週間前までに通知を出さないといけない。
    > 株式の譲渡制限をかけている会社であれば1週間前までで良い。
    > さらに取締役会非設置会社であって、定款に定めを置けば、「1週間より短い時期」を定めることもできる。

 

  • 役員の任期
    > 定款に定めがないときは取締役の任期は2年。
    > 満期になるたびに再任と登記申請の手続、費用が必要になる。
    > 株式の譲渡制限をかけている会社であって、定款に定めを置けば、「最大10年」まで任期を伸ばすことができる。

 

株式の譲渡制限をかけることで他の要件まで緩和することが認められます。

上場するなどの目標がなければ、譲渡制限のかけること、及びその他ルールの見直しなども定款作成時に進めておくと良いでしょう。

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美藤 直人(びとう なおひと) / 公認会計士・税理士

大手監査法人での豊富な実務経験と、企業支援・相続・事業承継まで幅広い支援実績を持つ公認会計士・税理士です。
金融庁勤務や上場企業の社外役員など、多角的な視点で経営をサポートしています。

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私は1991年に公認会計士試験(旧第2次試験)に合格後、大手監査法人に勤務していましたが、2011年に税理士登録して当事務所を設立し、企業・個人事業者であるお客さまに対してご事業の発展をサポートするアドバイザー‘軍師’であり続けたいと考えて業務を行ってきました。

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